今から約四〇〇年前、徳川家康の命による清須越に際し、名古屋城の築城とともに資材運搬のための水路として開削された堀川は、城下町として発展する名古屋の水運の大動脈として経済を支え、沿岸には尾張藩の年貢米貯蔵、水運管理施設、豪商が立地しました。また尾張藩の催事の場であり、庶民の生活文化の場でもあったのです。
戦後まで名古屋の物流を担ってきた堀川ですが、戦後の高度成長、モータリゼーションの発達に伴い、物流機能としての役割を失うとともに、水質の悪化が進みました。
近年、この貴重な都市河川の水質浄化、親水空間の拡大、活用、堀川の歴史や文化に関する活動が活発になり、市民主体又は官民協働による様々なイベントが実施され、沿岸の活用も進みつつあります。
しかし、まだ水質浄化、沿岸の整備、また堀川自体の活用、歴史や文化への理解は十分ではなく、堀川をハード、ソフト面での「まちづくり」につなげていくためには、堀川の歴史、文化、川の記憶をより市民に訴える必要があると考えます。
1610年の誕生から現在までの、時代とともに変わる堀川の姿、人と街との関わり、市民の誇りと愛着を醸成するまちづくりの基盤である都市河川としての堀川の意義、魅力と未来への展望を描きます。
